19歳から25年間、一度も積立投資を止めなかった私が辿り着いた結論は、「テクニックより継続が全て」ということです。不動産営業の薄給時代も、転職の狭間で収入がゼロの時期も、リーマンショックで含み損が数百万円に膨らんだ時も、ただひたすら毎月決まった金額を投資し続けました。その結果、今では高配当株からの配当収入だけで生活費の大部分を賄えるようになっています。
19歳、人生初の投資はソフトバンク株だった
1999年、私は19歳の大学生でした。当時はまだITバブルの真っ最中で、インターネットという言葉がようやく一般的になりかけた時代です。アルバイトで貯めた10万円を握りしめて、証券会社の窓口に向かったのを今でも鮮明に覚えています。
なぜソフトバンクを選んだのか。理由は極めて単純で、孫正義さんのビジョンに圧倒されたからです。当時テレビで見た孫さんの「インターネットは必ず日本人の生活を変える」という言葉が、19歳の私の心に深く刺さりました。株価は当時1株500円程度。200株購入して、私の投資人生が始まったのです。
最初の1年間は、株価の値動きが気になって仕方ありませんでした。大学の休み時間になるたびに、携帯電話でソフトバンクの株価をチェックする毎日。1円上がれば200円の含み益、1円下がれば200円の含み損。今思えば微々たる金額ですが、当時の私にとっては大金でした。
しかし、この時期に決めたルールが、後の25年間を支える基盤となりました。「毎月必ず2万円は投資に回す」という自分との約束です。大学生の私にとって月2万円は決して小さな金額ではありませんでしたが、将来への投資だと自分に言い聞かせました。コンビニ弁当を自炊に変え、映画館に行く回数を減らし、友人との飲み会も控えめにして、なんとか2万円を捻出していました。
2000年に入ると、ITバブルが崩壊し始めます。ソフトバンク株は一時1000円を超えていたのに、あっという間に300円台まで下落しました。私の10万円の投資は6万円にまで目減りしていたのです。周りの友人たちは「株なんてギャンブルだ」「やめた方がいい」と口々に言いましたが、なぜか私は売る気になれませんでした。
むしろ、この下落を「安く買えるチャンス」と捉えていました。毎月2万円の積立を続け、ソフトバンク株を買い増していく。株価が下がれば下がるほど、同じ2万円でより多くの株数が買えるのです。この経験が、後にドルコスト平均法の威力を身をもって知ることにつながりました。
Apple株への直感投資が人生を変えた瞬間
2026年12月、AirPodsが発売されました。この時の私は35歳、不動産営業からM&A業界に転職して数年が経っていました。年収も500万円程度まで上がり、毎月の積立額も5万円に増やしていました。
AirPodsを初めて手にした時の衝撃は、今でも忘れることができません。「これは世界を変える」と心の底から思いました。ケーブルのないイヤホンというコンセプト自体は既に存在していましたが、Appleの作り上げたユーザーエクスペリエンスは別次元でした。iPhoneケースを開けるだけで自動でペアリングされ、耳に装着するだけで音楽が流れ始める。このスムーズな体験に、私は完全に魅了されました。
その日の夜、私はApple株について徹底的に調べ上げました。当時のAppleは既に時価総額世界一の企業でしたが、iPhone一本足打法への不安視する声も多く聞かれていました。しかし、AirPodsを実際に使ってみて、私は確信していました。Appleはハードウェアとソフトウェアの統合において、他社の追随を許さないレベルに達していると。
翌週、私は証券会社に向かい、当時貯めていた200万円をApple株に投じました。株価は1株115ドル程度。為替レートは1ドル115円前後だったので、日本円では約1万3000円でした。約150株購入することができました。
周囲の反応は冷ややかでした。「今更Appleなんて遅すぎる」「もう株価は天井だろう」「一つの銘柄に200万円も突っ込むなんて危険すぎる」。確かに、分散投資の観点から見れば非常にリスクの高い判断でした。しかし、私には確信がありました。AirPodsは単なる製品ではなく、Appleエコシステムの新たな入り口になると。
2026年、2026年と、Apple株は順調に上昇を続けました。iPhoneXの発売、AirPodsの爆発的普及、Apple Watchの市場拡大。私の読みは的中していたのです。200万円の投資は、2年間で約400万円まで膨らんでいました。
しかし、ここで重要だったのは、Apple株の利益に浮かれることなく、従来からの積立投資を継続していたことです。ソフトバンク株への投資から始まった毎月の積立は、この頃には月7万円まで増額していました。Apple株とは別に、毎月コツコツと日本株のインデックスファンドを購入し続けていたのです。
Apple株の成功体験は確かに大きな資産形成につながりましたが、同時に「一発当てる」ことの難しさも痛感させられました。次のAppleを見つけることができるかは分からない。だからこそ、地道な積立投資こそが最も確実な資産形成の方法だと、改めて確信したのです。
サラリーマン卒業の決断と大きな売却
2026年の秋、私は人生の大きな転機を迎えていました。医療コンサルタントとして働いていた会社を辞め、自分のメディア事業で独立することを決意したのです。当時39歳、結婚も考えている女性がいて、人生設計を大きく見直すタイミングでした。
独立への不安は計り知れないものがありました。安定したサラリーマンの給料がなくなる代わりに、事業収入という不確実なものに頼ることになる。婚活系のメディア構想はありましたが、それが成功する保証はどこにもありませんでした。
そんな時、私の背中を押してくれたのが、20年間積み上げてきた投資資産でした。ソフトバンク株は分割を重ねて保有株数が大幅に増加し、Apple株は購入時の3倍以上になっていました。日本株のインデックスファンドも、リーマンショックの下落を乗り越えて順調に成長していました。
独立資金を確保するため、保有していた株式の約6割を売却することにしました。ソフトバンク株の大部分、Apple株の半分、そして日本株インデックスファンドの一部。総額で約1500万円の売却でした。20年前の19歳の自分が毎月2万円を積み立て始めた時には、こんな日が来るとは想像もしていませんでした。
売却の手続きをしながら、私は深い感慨に浸っていました。あの時、ITバブル崩壊で含み損を抱えても積立を止めなくて良かった。リーマンショックで株価が大暴落した時も、慌てて売りに走ることなく継続して良かった。転職を繰り返し、収入が不安定な時期があっても、なんとか積立を続けて良かった。
特に印象深かったのは、2011年の東日本大震災の直後でした。日経平均株価は一時8000円台まで下落し、私の保有資産も大幅に目減りしました。当時勤めていた会社では残業代がカットされ、月収も大幅に減少していました。それでも私は積立を止めませんでした。むしろ、「こんな時こそ安く買えるチャンス」と考え、ボーナス時にはまとまった金額を追加投資していました。
売却資金の1500万円は、独立後の生活費と事業投資資金に充てました。オフィスの賃料、サーバー代、外注費、そして最も重要な生活費。サラリーマン時代には当たり前にあった毎月の給料が入らない不安は想像以上でしたが、この資金があったからこそ、焦ることなく事業に集中できました。
そして何より重要だったのは、売却後も積立投資を継続したことです。事業収入が安定しない中でも、月3万円からでも積立を続けました。「積立だけは絶対に止めない」という20年間の信念を、独立後も貫いたのです。
アメリカ高配当株への転換点
独立から1年が経った2026年の初頭、私は投資戦略の大幅な見直しを行いました。40歳という年齢を迎え、単純な資産成長よりも安定したインカムゲインを重視するようになったのです。そこで注目したのが、アメリカの高配当株でした。
当時、私の周りの投資家たちの多くは成長株一辺倒でした。テスラ、アマゾン、ネットフリックス。確かに株価の上昇は魅力的でしたが、私には違和感がありました。これらの銘柄は配当をほとんど出さない。売却しなければ利益を現金化できないのです。
独立して事業を営む身として、私が求めていたのは安定したキャッシュフローでした。事業収入は月によって大きく変動します。特に婚活メディアという特性上、季節要因やトレンドの影響を強く受けます。そんな中で、投資からの配当収入があることは、精神的な安定に大きく寄与しました。
最初に購入したのは、バンガード・ハイディビデンド・イールドETF(VYM)でした。配当利回りは約3パーセント。決して高い数字ではありませんが、組み入れ銘柄の質の高さに惹かれました。ジョンソン・エンド・ジョンソン、プロクター・アンド・ギャンブル、コカ・コーラ。いずれもアメリカを代表する優良企業ばかりです。
続いて購入したのは、iシェアーズ・コア米国高配当株ETF(HDV)でした。こちらは配当利回りが約3.5パーセントと少し高く、エネルギーセクターの比重が大きいのが特徴です。エクソンモービル、シェブロン、AT&T。景気敏感株が多いため値動きは大きめですが、配当の安定性は魅力的でした。
さらに、個別銘柄としてコカ・コーラ(KO)とジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)も購入しました。両社とも配当王銘柄として知られ、50年以上連続で増配を続けています。特にコカ・コーラは、私が子供の頃から慣れ親しんだブランド。世界中どこに行ってもコカ・コーラが飲めるという安心感は、投資判断においても重要な要素でした。
高配当株投資を始めて最初の四半期、私の証券口座に約2万円の配当金が振り込まれました。たった2万円ですが、その時の嬉しさは格別でした。何もしなくても、ただ株式を保有しているだけで、アメリカの優良企業から利益の分配を受けられる。これこそが資本主義の醍醐味だと感じました。
もちろん、高配当株にもリスクはあります。配当利回りが高いということは、それだけ株価が低迷している可能性もある。また、業績悪化により減配や無配になるリスクもあります。しかし、分散投資を行い、長期保有を前提とすることで、これらのリスクは十分に管理可能だと判断しました。
現在では、ポートフォリオの8割を高配当株が占めています。残り2割はAppleやマイクロソフトといったハイテク株ですが、これらも近年は配当を出すようになり、成長と配当の両方を期待できる銘柄となっています。
コロナショック時の冷静な買い増し体験
2026年3月、新型コロナウイルスの世界的な拡散により、株式市場は大混乱に陥りました。3月23日には、ダウ工業株30種平均が一時18,000ドル台まで下落。私が保有していた高配当株ETFも、軒並み30パーセント以上の下落となりました。
当時の私の心境を正直に告白すると、最初は動揺しました。独立から1年経ったばかりで、メディア事業もまだ軌道に乗り始めたばかり。そんな中での資産の大幅減少は、精神的に大きな打撃でした。一時は、「やはり高配当株への集中投資は間違いだったのか」と自問自答する日々が続きました。
しかし、ここで私を支えたのは、過去の経験でした。2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災。いずれの局面でも、株価は一時的に大きく下落しましたが、その後必ず回復していました。そして何より、暴落時に追加投資した分が、後の資産形成に大きく寄与していたのです。
3月下旬、ダウが底値圏で推移していた時期、私は大胆な行動に出ました。事業用の資金として確保していた300万円の一部、100万円を株式市場に投じたのです。VYMを50万円分、HDVを30万円分、個別株のコカ・コーラとジョンソン・エンド・ジョンソンを各10万円分。
この判断には、周囲から強い反対の声が上がりました。特に、当時付き合っていた現在の妻からは「今は株なんて買う時期じゃない」「事業資金を投資に回すなんて正気の沙汰じゃない」と厳しく叱責されました。確かに、論理的に考えれば彼女の言う通りでした。
しかし、私には確信がありました。コカ・コーラの事業がコロナで消滅することはない。ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品需要が無くなることはない。一時的に業績は悪化するかもしれませんが、人類がコロナを克服すれば、必ず元の水準以上に回復するはずだと。
実際、私の読みは当たりました。4月以降、各国の金融緩和政策もあり、株価は急速に回復し始めました。3月に購入したVYMは、半年後には購入時の1.5倍になっていました。HDVも同様に大幅な上昇を見せ、個別株のコカ・コーラとジョンソン・エンド・ジョンソンも順調に回復していきました。
しかし、この成功体験で私が学んだ最も重要なことは、「一括投資の成功」ではありませんでした。むしろ、コロナショックの期間中も、毎月の積立投資を一度も停止しなかったことの方が重要だったのです。
2026年3月から12月まで、私は毎月5万円の積立を続けました。株価が底値の時期は、同じ5万円でより多くの株数を購入できました。株価が回復してきた時期でも、継続して購入することで、平均取得単価を平準化できました。この地道な積立が、結果的に最も効果的な投資手法となったのです。
も大きなリターンをもたらしたのです。
コロナショック時の体験は、私の投資哲学をさらに強固なものにしました。市場の暴落時こそ、冷静さを保ち、継続的な投資を行う。そして何より、毎月の積立だけは絶対に止めない。これこそが、長期的な資産形成の王道なのだと、改めて確信しました。
積立を続けた私と諦めた友人たちとの差
25年間投資を続けてきて、最も痛感するのは「継続した人」と「途中でやめた人」の間に生まれた圧倒的な差です。私の周りには、同じ時期に投資を始めながら、様々な理由で途中で諦めてしまった友人たちがいます。彼らとの現在の状況を比較すると、継続することの重要性が如実に表れています。
大学時代の友人A君は、私と同じ1999年にITバブルに乗って投資を始めました。彼が選んだのは光通信という銘柄。当時は携帯電話の販売代理店として急成長していた会社です。A君は私よりも大胆で、アルバイト代の大部分を光通信に投じていました。
2000年の春頃、光通信の株価は一時10万円を超え、A君の資産は一気に200万円を超えました。当時ソフトバンクでコツコツ積立をしていた私を横目に、「やっぱり集中投資が正解だよ」と得意げに話していたのを覚えています。しかし、ITバブル崩壊とともに光通信の株価は急落。最終的に1万円を割り込み、A君は大きな損失を抱えました。
この経験でA君は投資に対して完全に嫌気がさし、2001年に残っていた株式をすべて売却して投資から手を引きました。「株式投資なんて博打だ。真面目に働いて貯金する方がよっぽど確実だ」というのが彼の結論でした。
それから20年以上が経った現在、A君は地方公務員として安定した生活を送っています。真面目にコツコツ貯金を続け、現在の貯蓄額は約800万円。決して少ない金額ではありませんが、同じ期間投資を続けた私との差は歴然としています。私の投資資産は現在3000万円を超えており、年間の配当収入だけで約120万円になります。
もう一人印象深いのは、不動産営業時代の同僚だったB君です。彼は2005年頃から私の影響で投資を始めました。当初は毎月3万円程度の積立を日本株のインデックスファンドで行っていました。2006年、2007年と順調に資産が増加し、B君も投資の面白さを実感していたようです。
しかし、2008年のリーマンショックで状況は一変しました。日経平均株価は最高値の半分以下まで暴落し、B君の投資資産も大幅に目減りしました。「3年間積み立てたのに、元本を大きく下回っている」という状況に、B君は耐えられませんでした。
2009年の春、日経平均が7000円台の底値圏にあった時期、B君は「これ以上損失が拡大する前に」とすべてのファンドを売却しました。私は必死に止めましたが、彼の決意は固く、「もう投資はこりごりだ」と投資から完全に撤退してしまいました。
皮肉なことに、B君が売却した直後から株価は回復に転じました。2010年以降、日本株は長期上昇トレンドに入り、B君が保有していたインデックスファンドも大幅に上昇しました。もし彼が売却せずに保有を続け、さらに積立を継続していれば、現在では1000万円以上の資産になっていたはずです。
最も残念だったのは、転職先で知り合ったC子さんのケースです。彼女は2012年頃から投資を始め、アベノミクスの恩恵を受けて順調に資産を増やしていました。特に日本株への投資が功を奏し、2015年には投資元本の2倍近くになっていました。
ところが、2016年の年初から株価が調整に入ると、C子さんは急に不安になり始めました。「利益が出ているうちに確定させた方がいいのではないか」と相談を受けましたが、私は「長期投資なら一時的な調整は気にする必要がない」とアドバイスしました。
しかし、C子さんは2016年6月のBrexit投票後の株価下落を機に、保有株式の大部分を売却してしまいました。確かに利益は確定できましたが、その後の上昇相場を逃すことになりました。現在の彼女は「あの時売らなければよかった」と後悔していますが、一度投資から離れてしまうと、なかなか復帰するタイミングが見つからないようです。
これらの友人たちとの差を見ていて感じるのは、投資における「時間の力」の絶大さです。どんなに優れた銘柄を選んでも、どんなに完璧なタイミングで売買しても、継続しなければ大きな資産形成は不可能です。逆に、平凡な方法であっても、長期間継続すれば確実に資産は増加していきます。
44歳の今、心から「続けてよかった」と思う理由
44歳になった今、25年間の投資経験を振り返ると、心の底から「続けてよかった」と思います。それは単純に資産が増えたからではありません。投資を通じて得られたもの、学べたこと、そして何より人生の選択肢が格段に広がったことへの感謝の気持ちです。
まず最も実感しているのは、経済的な自由度の向上です。現在、私の年間配当収入は約120万円に達しています。月換算で約10万円。これは生活費の基礎部分を十分にカバーする金額です。メディア事業の収入が一時的に落ち込んでも、この配当収入があることで精神的な余裕を保つことができます。
独立当初は、毎月の売上に一喜一憂していました。特に婚活系メディアという性質上、季節要因の影響を強く受けます。春や秋の結婚シーズン前は広告収入が増加しますが、夏や冬は落ち込みがちです。事業収入だけに依存していた頃は、収入の波に神経をすり減らしていました。
しかし、配当収入という安定したベースができたことで、事業運営に対する姿勢も大きく変わりました。短期的な収益にとらわれず、長期的な視点でメディアの価値向上に取り組めるようになったのです。ユーザーにとって本当に価値のあるコンテンツ作りに集中できるようになったことは、結果的に事業の成長にも大きく貢献しています。
次に実感しているのは、投資を通じて身についた経済感覚の向上です。25年間、様々な企業の株主として、決算書を読み、業界動向を分析し、経営者のメッセージに耳を傾けてきました。この経験は、自分自身の事業運営においても大いに役立っています。
例えば、高配当株投資を通じて学んだキャッシュフロー経営の重要性。配当を継続的に支払える企業は、必ず安定したキャッシュフローを生み出しています。この視点を自分の事業に当てはめることで、売上の拡大だけでなく、キャッシュの回転率や収益の安定性にも注意を払うようになりました。
また、長期投資の経験から得られた「時間軸」の概念も重要です。株式投資では、短期的な株価変動に一喜一憂せず、長期的な企業価値の向上に注目することが重要です。同様に、メディア事業でも短期的なアクセス数や収益の変動に惑わされず、長期的なブランド価値の構築に注力できるようになりました。
人生設計の面でも、投資資産の存在は大きな意味を持っています。現在結婚を考えている女性との将来について話し合う際も、経済的な基盤があることで、より具体的で現実的な計画を立てることができます。子どもの教育費、住宅購入、老後資金。これらの人生の大きなイベントに対して、配当収入という安定したベースがあることで、より積極的に取り組むことができます。
特に印象深いのは、昨年末に受けた健康診断で軽微ながら気になる数値が見つかった時のことです。詳しい検査が必要となり、最悪の場合、しばらく仕事を休む必要があるかもしれないという状況でした。幸い大事には至りませんでしたが、この時改めて配当収入の存在の大きさを実感しました。
もし投資資産がなく、事業収入だけに依存していたら、健康に不安を抱えながらも無理して働き続けなければならなかったでしょう。しかし、毎月10万円の配当収入があることで、「最悪の場合でも数ヶ月は生活できる」という安心感がありました。結果的に検査結果は問題なかったのですが、この経験を通じて改めて投資の重要性を認識しました。
そして何より、19歳の時に始めた月2万円の積立が、44歳の今では月10万円の配当収入を生み出している現実に、深い感動を覚えます。複利の力、時間の力、継続の力。これらが組み合わさることで、小さな種がこれほど大きな果実になるのです。
テクニックより継続が全て – 25年で学んだ真理
25年間の投資経験を通じて、私が到達した最終的な結論は「テクニックより継続が全て」ということです。この四半世紀の間、数え切れないほどの投資手法、分析方法、銘柄選定基準を試してきましたが、最終的に最も重要だったのは、ただ継続することでした。
投資を始めたばかりの頃は、チャート分析に熱中していました。移動平均線、ボリンジャーバンド、RSI。様々なテクニカル指標を学び、完璧なエントリーポイントを見つけようとしていました。書店で投資関連の書籍を買い漁り、セミナーにも数多く参加しました。「誰よりも勉強すれば、必ず勝てる」と信じていたのです。
しかし、現実は甘くありませんでした。どんなに完璧だと思ったタイミングで購入しても、株価は思惑とは逆方向に動くことが頻繁にありました。「今回こそは」と思って投じた資金が、あっという間に半分になってしまったこともありました。特に2000年から2002年にかけてのITバブル崩壊期は、自分の分析力の限界を痛感させられる期間でした。
2003年頃から、私は投資アプローチを大きく変更しました。短期的な値動きを予測しようとすることを諦め、ドルコスト平均法による定期積立に集中することにしたのです。毎月決まった日に、決まった金額で、決まった銘柄を購入する。それ以上でも以下でもありません。
この単純な手法に切り替えた当初は、正直なところ物足りなさを感じていました。チャートを分析し、企業業績を詳細に検討し、絶妙なタイミングで売買することの方が、投資家らしい行動のように思えたからです。毎月機械的に積立購入するだけでは、まるで投資の素人のようで、プライドが許しませんでした。
しかし、時間が経つにつれて、この単純な手法の威力を実感するようになりました。株価が高い時期は少ない株数しか購入できませんが、株価が安い時期には多くの株数を購入できます。結果として、長期的には平均取得単価が平準化され、市場の平均的なリターンを確実に獲得できるのです。
特に印象深かったのは、2008年のリーマンショック時の経験です。当時、多くの投資家が狼狽売りに走る中、私は淡々と毎月の積立を続けました。日経平均が7000円台まで下落した時期も、「安く買える絶好のチャンス」と捉え、いつも通りの金額を投資し続けました。
この判断が正しかったことは、その後の株価回復で証明されました。2009年3月の底値圏で購入した分は、その後の上昇相場で大きなリターンをもたらしました。もし私が市場の動向に惑わされて積立を停止していたら、この絶好の投資機会を逃していたでしょう。
また、銘柄選択においても、複雑な分析よりもシンプルな基準の方が有効であることを学びました。現在の私のポートフォリオの中核を占めるのは、VYMやHDVといったETF、そしてコカ・コーラやジョンソン・エンド・ジョンソンといった超大型優良株です。いずれも特別な分析を必要とせず、誰でも理解できる事業モデルを持つ企業です。
投資業界では、常に新しい手法や理論が話題になります。AI を使った自動売買、量的分析、アルゴリズム取引。確かにこれらの手法で短期的に大きな利益を得る人もいるでしょう。しかし、私の経験では、こうした複雑な手法よりも、シンプルで継続可能な方法の方が長期的には優れた結果をもたらします。
継続することの難しさは、技術的な問題ではなく心理的な問題にあります。株価が大きく下落した時の不安、周囲の人々の否定的な意見、短期的な利益に対する誘惑。これらの心理的な障壁を乗り越えて、愚直に積立を続けることこそが最も困難で、同時に最も重要なことなのです。
私が25年間積立を継続できた理由を振り返ると、明確なルールを設定し、それを機械的に守り続けたことが挙げられます。「毎月日に万円を投資する」という単純なルールを決め、市場の状況や個人的な感情に左右されることなく、ただそれを実行し続けました。
現在44歳の私から、投資を始めたばかりの若い人たちに伝えたいのは、「完璧を求めるより継続を重視せよ」ということです。最適な銘柄を選ぼうとして何ヶ月も悩むより、平凡な銘柄でも今すぐ積立を開始する方がよほど重要です。完璧なタイミングを待っているうちに、時間だけが過ぎ去ってしまいます。投資において最も貴重な資源は時間なのですから。


